楽しみながら最も美しい未来を想像する

外にゆったりと座る。ようやくやってきた春の訪れを感じる。太陽の光と鳥達がコーラスを奏でている。涼しいそよ風が、私の指先、鼻をくすぐり、目の前には、可能な限りのグラデーションを織り成す緑、茶色、透明な空の青、そして、黄色、ピンク、赤、紫の花々の色の祭典が広がる。そう。自然界には全ての色がある。そして、自然はとても美しい。私の心を揺さぶるのは、視覚なのか、それとも聴覚による自然の光景なのかはわからない。どれだけの種類の鳥が空の上で歌い、話し、踊っているのだろう?猛禽類、カラス、燕、雄鶏、鳩、鴨、シジュウカラの声、重力に反して動く翼の音が聞こえる。耳をかすめ、手にとまり、視界に入ってくる昆虫も、すべてが動いていることを思い出させてくれる。私が想像する理想の世界を書いているように、鳥達もお互いに物語を語っているように思える。オスの鳩がメスの鳩をナンパしようとしていることに気が付く。2羽は、ちょうど私の頭上にある枝に留まっている。二つの現実。同じ現実。

 

オスは少し踊ってみせる。エレガントだな、私にだったら効くかも、と思う。メスは全く興味を示していないようで、私は、パソコンのキーボードをたたく。オスは、メスの前にひざまずくように、何度も何度も体を上下させている。メスは、落ちるのだろうか?私だったら、とっくに負けている。オスのお辞儀には敬意がたっぷり込められている。「嗚呼、どうすれば貴女を称えることができるのでしょう。なんて貴女は美しい。お願いだから私のダンスをご覧ください。」と言っているよう。メスは全く興味を示さない。どんな基準でメスの鳩はオスを求めるのだろう?それは、私には分からない。辛抱強いオスに対して、メスは嫌気をさし、別の枝に飛び去る。オスは踊るのをやめ、躊躇したのち、あまりしつこくないよう、メスの枝よりひとつ上の枝に移動する。メス鳩が何を求めているのかは分からないけれど、私は、このパートナー候補のオスをとても上品だと思う。そして、オスはメスのいる枝に飛び降りる。メスは無視し続け、隣の枝に飛び移る。オスもメスと同じ枝に移る。メスは逃げる。オスはメスを追いかける。やっぱり、このオスはしつこいと思う。だって、3回も断られたら普通は諦める。鳥達の世界と私の世界。二つの現実であり、ひとつの現実。

 

fc914cae-51a6-456b-ba90-ecf3b15885ab.JPG

私が思う理想の世界を書かないといけない。理想の世界に私はいる。私の今。そしてその風味。広い庭が堂々と君臨する家。友人全員を歓迎し、何もせず、自分に優しくできる場所。私の理想の世界は、今、私が住んでいる世界に似ている。私は、自分の居場所にいる。私にとっての理想の世界は、誰もが自分の居場所があり、感謝と愛に満ちている世界。すべての可能性が、そこから生まれる。思いやりが増えることで、助け合う心も強くなる。

私たちの長所が通貨として機能し、お金は私達によくない影響を与えうる発明でしかない、という風に考えてみよう。そして、世界は万物ものなのだから、万物のための世界を創造しよう。「人生は勝ち取らないといけない」という現実に今の時代はあるといえる。本当にそう?人生って勝つもの?衣食住を勝ち取るもの?生きとし生けるもの全てのための地球なのに?食糧を栽培し、廃棄物をエネルギーに変え、太陽からもエネルギーを作り出せる。井戸を掘り、助け合い、共有し、癒し合い、お互いを尊重する場所を創造する。自分が本当に好きなことをして、愛し、愛されていると、すべてに喜びを感じることができる。

Photo : Olivier Delbosc 

スタイリング ːLeon & Harper

自分自身が自分の人生の主人公であり、自分達の夢が自分達の現実を創造していることを誰もが理解している世界を想像する。

美しさ、愛、調和を夢想し、すべての人の豊かさを思い描いているけれど、でも、何よりも、今のこの瞬間の現実を思い描く。この世界を見て、感じる。私は、不安が入る余地を与えない。不安が、取り残された人々を生み出し、自然を私達が破壊する今のこのシステムを助長させていることを、私は知っている。私はこの不安を観察するけれど、不安に栄養を与えない。不安を受けとめ変容させる。少しずつ、一人一人のペースで、人間が私たちの惑星の美しさに目覚める世界を想像する。パラダイスは、いま、この瞬間。最小のアリから拡張する宇宙の最も深淵にある最大の惑星に至るまで、すべてが相互につながっていることを実感する。

 

ひとつの同じ有機体として私たちが繋がっているとすれば、これまで信じるように仕向けられてきたよりも、私達ははるかに強いということだ。少数の「権力」を持っていることを理解したバカが、私達に何をするべきかを押し付けてくるのを許してもいいの?そんなの無理。じゃあ、どうすれば良い?

 

Photo : Olivier Delbosc 

スタイリング ːLeon & Harper

たった一人の愛する人間は、憎しみを抱える1000人分の力があると言う。それなら勝ったも同然。

私は、憎しみの人はいないと言いたい。隠され、秘められ、傷つけられた、それでも、愛。

愛だけがあると言いたい。

今朝、笑いながら目を覚ました。昨日の夜どこにいたのだろう、ぼんやりと思い出す。そして、あっという間に忘れてしまう。また、新しい一日が始まる。

これって、人生そのものなのでは?死?私達がとても恐れているもの?それって、ただのひとつの旅行、中間点みたいなものじゃない?私が死について触れるのは、私達の生態系(人間、植物など)が置かれている現状は、私たちの解釈に起因していると思うからだ。

これほどまどに文明が死を恐れ、生を祝福することを忘れたことはないだろう。

人生の一部である死を祝う世界、すべてを受け入れる世界を想う。気に病んだり、心配することに一瞬たりとも時間を使わない世界。

目を閉じると、このような世界が目に浮かび、人々が目を醒ますのを感じる。人生に起こるすべての出来事は、最も純粋な美しさに包まれた生を見つめさせてくれる。

だから、すべての出来事にありがとう、と言う。

人生って素晴らしい贈り物。鳥達も私に賛成してくれているよう。鳩のことを思い出し、オスが最初のメスを諦めて、好意を寄せてくれる別のメスを見つけていたらいいな、と思う。

私は、ワクワクしながら信念をもって期待する。私は勇気をもって夢想する。自分の気に入るものを書き、語る。鳩の話は、実は、この原稿を書く前の話だったのだけれど、フィクションの楽しみのために、同時進行形で書いたのでした。

最も美しい未来を想像することを楽しもう。

この原稿を依頼してくれてありがとう。とても楽しいエクササイズでした。

ノルマンディーとパリにて

楽しみながら最も美しい未来を想像する

Audrey DANA

映画監督

最新作『HOMMES AU BORD DE LA CRISE DE NERFS 』がL'Alpe d'Huez 国際コメディ映画祭にノミネートされている。