鉱物
この地球の歴史が詰まった一粒に人類は何を見出してきたのか
フランスの哲学者ロジェ カイヨワは石の中に宇宙そのものを見出し
この世界を結晶化した世界として描こうとしたSF作家J.G.バラード
あらゆる人たちがこの鉱物の美しさに魅了され
それぞれの言葉を紡いできた
石を扱うこの仕事を始めて10年以上の月日が経つ
この自然が生み出した芸術作品とも言える一粒と対峙すると畏敬の念すら覚えてしまい
今もなお色褪せることなくその魅力に魅了され続けている
鉱物を作品の軸として接する中で僕はいつも「身につける地球を作っているのだ」と感じている
このえも言はず語りかけてくるような存在
人類は言葉を持ってしまったが故に語らざるを得なくなったのではないだろうか
ある時期から石がパワーストーンとしてブームのように扱われるようになってしまった
石そのものの魅力に対して意味の方が先行して求めるようになってしまったとも言える
言葉の呪縛であり言葉が氾濫するこの時代
人の持つ感覚の価値が目減りしているのを感じる
純粋な気持ちで石と向き合うにはどうすればいいのだろうか?
僕は何よりも直感を大事にする
言葉を介さない感覚でのコミュニケーションこそ今の時代に必要なのではないだろうか
歴史を遡ればもう何千年という人類と鉱物の関係性
石油や岩塩、大理石や水晶
身近な生活とも切っても切れない関係性となっている
どうしても人間中心主義な考え方になってしまうと自然が蔑ろに扱われてしまうのは悲しいところ
自然を身近に感じる
植物は無条件に与えてくれる
その存在には感謝しかない
生かし生かされてることを思えばその先の循環の道を忘れてはいけない
聞こえるはずのない石の声にそっと耳を傾けてみる
実はあちこちで語りかけてくれている
その声に呼応してやるだけでいい
人類の寿命では到底考えられないような時間が圧縮された存在を前に何を感じ思うのか
石と人間の響き合い方を常に模索していきたい
その一粒が癒してくれていると信じている
オカルティックでもミステリアスでもなんでもない
全ての人に備わっている創造力を少しでも良い方向に使うだけ
賢者の石や飛行石といった石を巡る物語の数々
その断片に触れるだけで世界は確実に広がっていく
世界をどのように捉えているかは一人一人違っている
見てる世界の解像度を少しずつ上げていくしかないのだ
この世界はとても美しい
フラクタルに重なり合うこの宇宙の中で
今日も一人一人の無限の創造を用いて表現する
少しでも明るく生きやすい未来へ向けて