Le vent exprimé par cusiniere japonaise Rie Tashiro | Flat magazine
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風と味 

田代理恵​

私は京都を拠点に「朝夕」という名で、料理教室やプライベートレストランの開催など、

食にまつわる様々な活動をしています。

 

「朝夕」は朝と夕方という意味のほかに、古語で「毎日、いつも」などの意味をもちます。

夜の次に朝がきて、春夏秋冬 季節がめぐる。そんな自然の循環の中で

日々季節の移ろいを感じ、自然とつながっていたいという想いからこの屋号をつけました。

 

5年ほど前から友人で敬愛する調香師の沙里さんと 

“ 香りを聞きながら料理を味わう “という少し実験的な食事会を重ねています。

5月に「 風を聞く 」をテーマに、彼女の軽井沢にある森のアトリエで香りと料理

の会を開催しました。

今回は芽吹きの頃から夏の兆しを感じる頃まで、6種類の風を料理と香りで表現しました。

それぞれの風から連想される味、食感、色、香り、かたち、音など

見えるもの、見えないもの、様々な要素を編み、重ね、一皿一皿作り上げていきます。

今回提供した6品のうち4品の内容と、私が料理に寄せたイメージを記します。

想像の中で風を感じていただければ嬉しく思います。

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【 風を聞く 】 5/4 軽井沢 atelier蕊

I 風の便り

○ すべての窓を開け放ち、静かに風を感じる

    気持ちをゆるませ、感覚をひらくイメージ

    森のアトリエに自生している摘みたての黒文字の花を口にすることによって、森の一部になる感覚を味わう

    日本茶は気持ちを穏やかにし、紙風船は小さい頃のピュアな遊び心を思い出す

    添えた柑橘ピールは、ひとすじの木漏れ日

香 紙風船の中にビャクシンの芽+月桂樹の香り 

味 新茶 / 空豆蜜煮+摘みたての黒文字の花、柑橘ピール

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II とおり風

○草木の新芽を思わせる、ういういしさや、みずみずしさ、柔らかさ、清々しさ 青々しさを感じられる食材を合わせました

香りと合わせると、体の中に新緑の風がすぅーっと、とおるイメージ

 こごみは視覚的にも風を感じさせる

 聞く結晶と、食べる結晶

香 ハッカの結晶、アブラチャン グラスで

味 豆腐ムース、新茶マリネ、きゅうり、日向夏、こごみ、葉山葵、結晶塩

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Ⅳ 木の芽雨、木の芽風、木の芽晴れ 

○ 雨が降り、風が吹き、太陽を浴びて新芽が育つ流れを1皿に

 ホーリーバジルのフローラルウォーターの雨を降らし、ベルガモットの光を。

 自由にのびのびと育った山菜の新芽や根のかたちや優しい色は春の軽やかな風のイメージ

香 ホーリーバジルのフローラルウォーター、ベルガモット 

味 鶏肉とコシアブラの揚げ物 黒胡椒、パルミジャーノ

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Ⅵ 月の船

○ 立夏の前日、穏やかな風吹く やわらかい月明かりの中、

 ウフアラネージュの舟に乗り、ゆったりとした流れに乗って次の季節へと進む 

 クリームの雲 柑橘ソースは月の光 

香 お香 ひかり

味 お抹茶  ウフアラネージュ 豆乳クリーム 黒文字花のシロップ漬け、柑橘ソース

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京都にて

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